焼抜き-修理前後比較

茶の湯釜・鉄瓶の修理【焼抜き】詳細①|錆びた鉄製品の修理

先日の記事で、茶の湯釜・鉄瓶の修理方法の概要をご紹介しました。

茶の湯釜・鉄瓶の修理方法のご紹介

今回からは、各修理方法についてより詳しくご説明したいと思います。
まずは焼抜き(やきぬき)についてです。
過去の記事と重複する部分もありますが、修理の一連の流れに沿ってご説明します。

焼抜きとは

焼抜きは、錆びてしまった釜や鉄瓶の錆を落としてきれいにし、高温で焼くことで錆びにくくする修理方法です。
錆を落とした釜を800℃程度で焼くことで、鉄の表面に酸化被膜ができ錆びにくくなります。
また、高温で焼く際に釜表面の色や漆がすべてはがれてしまうので、色付けも行います。

具体的な作業の流れは大まかに以下の通りです。

  1. 錆を落とす
  2. 焼抜き
  3. 水漏れ箇所を鉄漆で止める
  4. 色付け

 

工程1 錆を落とす

焼抜き-修理前01

修理依頼品の切合せ田口釜。

焼抜き-修理前02

外側はほとんど痛みがありませんが、釜の中が真っ赤に錆びてしまっています。

焼抜き-サンドブラスト

釜の中の錆を落とします。

 

焼抜き-修理中01

中の錆を落としたところ。

焼抜き-修理中02

外側の底も、部分的に漆や錆を落とします。

一見問題なさそうでも、表面の漆を落としてみると釜にヒビが入っていることもあります。
漆が多めに盛ってあるような怪しい場所は漆を落としておきます。

また、釜や鉄瓶の製法によっては、「型持ち」と呼ばれる箇所が釜の底にできてしまいます。
この部分は水が漏れやすいため、鉄漆で補修されている場合がほとんどです。
この型持ちも漆を落としておきます。

焼抜き-修理中03

外側の漆を落としたところ。
型持ちの跡がはっきり分かるようになりました。

今回は幸いヒビ割れはありませんでした。

これで錆や漆が落ち、焼く準備が整いました。

今回はここまでです。
次回はこの続き、高温で焼くところをご説明します。

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