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今回も焼抜きの説明の続きです。
前回の記事
前回は五徳を例に焼く作業をご紹介しました。 今回は焼抜きした釜の水漏れ箇所の処置についてです。
釜や鉄瓶は、鋳造した際に鋳物本体に小さな穴や傷ができてしまうことが多く、そこから水が漏れる場合もあります。 そんな傷や水漏れ箇所には、鋳造後の仕上げの工程で鉄粉と漆を混ぜ合わせた鉄漆(かなうるし)を詰めて対処します。 しかし鉄漆は250℃以上になると劣化し始めてしまいます。 そのため、焼抜き前は水漏れしなかった釜でも、800℃で焼いたことにより鉄漆がはがれ水漏れすることが多く、焼抜き後には水漏れのチェックと鉄漆での対処が必要となります。
焼抜きした田口釜。
焼抜き後、釜の中に漆を塗りました。
型持ちのところから漆が染み出してきています。 漆が染み出してくる箇所は水漏れする箇所なので、鉄漆を詰めて水漏れを止めます。
鉄漆。 漆と鉄粉を混ぜて練り合わせたもの。
混ぜた直後は柔らかいですが、乾くと非常に硬くなります。
水漏れする箇所に鉄漆を塗り、約190℃で30分ほど漆を乾かしました。
水漏れした箇所は外からも鉄漆を詰めておきます。 鉄漆を詰めたので、型持ちの跡があまりわからなくなりました。
鉄漆が乾いたら、釜に水をはって水漏れをチェックします。 まだ水が漏れる箇所がある場合は再度鉄漆を詰めて対処し、水漏れがなければ次の工程に移ります。
次回は最後の工程、色付けをご紹介します。