焼抜き-修理前後比較

茶の湯釜・鉄瓶の修理【焼抜き】詳細③|錆びた鉄製品の修理

今回も焼抜きの説明の続きです。

前回の記事

前回は五徳を例に焼く作業をご紹介しました。
今回は焼抜きした釜の水漏れ箇所の処置についてです。

釜や鉄瓶は、鋳造した際に鋳物本体に小さな穴や傷ができてしまうことが多く、そこから水が漏れる場合もあります。
そんな傷や水漏れ箇所には、鋳造後の仕上げの工程で鉄粉と漆を混ぜ合わせた鉄漆(かなうるし)を詰めて対処します。
しかし鉄漆は250℃以上になると劣化し始めてしまいます。
そのため、焼抜き前は水漏れしなかった釜でも、800℃で焼いたことにより鉄漆がはがれ水漏れすることが多く、焼抜き後には水漏れのチェックと鉄漆での対処が必要となります。

工程3 水漏れ箇所を鉄漆で止める

焼抜き-修理中04

焼抜きした田口釜。

焼抜き-修理中05

焼抜き後、釜の中に漆を塗りました。

焼抜き-修理中06

型持ちのところから漆が染み出してきています。
漆が染み出してくる箇所は水漏れする箇所なので、鉄漆を詰めて水漏れを止めます。

鉄漆。
漆と鉄粉を混ぜて練り合わせたもの。

混ぜた直後は柔らかいですが、乾くと非常に硬くなります。

焼抜き-修理中07

水漏れする箇所に鉄漆を塗り、約190℃で30分ほど漆を乾かしました。

焼抜き-修理中08

水漏れした箇所は外からも鉄漆を詰めておきます。
鉄漆を詰めたので、型持ちの跡があまりわからなくなりました。

鉄漆が乾いたら、釜に水をはって水漏れをチェックします。
まだ水が漏れる箇所がある場合は再度鉄漆を詰めて対処し、水漏れがなければ次の工程に移ります。

次回は最後の工程、色付けをご紹介します。

 

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