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先日の記事で、茶の湯釜・鉄瓶の修理方法の概要をご紹介しました。
茶の湯釜・鉄瓶の修理方法のご紹介
今回からは、各修理方法についてより詳しくご説明したいと思います。 まずは焼抜き(やきぬき)についてです。 過去の記事と重複する部分もありますが、修理の一連の流れに沿ってご説明します。
焼抜きは、錆びてしまった釜や鉄瓶の錆を落としてきれいにし、高温で焼くことで錆びにくくする修理方法です。 錆を落とした釜を800℃程度で焼くことで、鉄の表面に酸化被膜ができ錆びにくくなります。 また、高温で焼く際に釜表面の色や漆がすべてはがれてしまうので、色付けも行います。
具体的な作業の流れは大まかに以下の通りです。
修理依頼品の切合せ田口釜。
外側はほとんど痛みがありませんが、釜の中が真っ赤に錆びてしまっています。
釜の中の錆を落とします。
中の錆を落としたところ。
外側の底も、部分的に漆や錆を落とします。
一見問題なさそうでも、表面の漆を落としてみると釜にヒビが入っていることもあります。 漆が多めに盛ってあるような怪しい場所は漆を落としておきます。
また、釜や鉄瓶の製法によっては、「型持ち」と呼ばれる箇所が釜の底にできてしまいます。 この部分は水が漏れやすいため、鉄漆で補修されている場合がほとんどです。 この型持ちも漆を落としておきます。
外側の漆を落としたところ。 型持ちの跡がはっきり分かるようになりました。
今回は幸いヒビ割れはありませんでした。
これで錆や漆が落ち、焼く準備が整いました。
今回はここまでです。 次回はこの続き、高温で焼くところをご説明します。